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AI BASICS · CHAPTER 02

AIは、どう進歩してきたか。
技術の広がりと、いま残る使い分け

AIの歴史を、古い方式が新しい方式へ完全に置き換わる一本道として読むと誤解が生じます。この章では、1956年の研究集会、2012年の画像分類の研究、2017年のTransformerの提案という節目を取り上げます。研究の発表と、特定の製品が仕事で役立つことは分けて考えます。

規則を人が書く方式

1956年のダートマス研究集会は、AI研究の節目として記録されています。AIの方式の一つに、人が「もしこの条件なら、こうする」という規則を書くルールベースがあります。たとえば架空の受付業務で、必須項目が未記入なら差戻すという規則を置く方法です。初期の研究すべてが、この方式だけだったという意味ではありません。

規則で運用する場合、例外や制度の変更に合わせて更新が必要です。条件が明確で、確認や変更の手順を管理できる仕事では候補になります。この運用上の難しさだけで、AI研究全体の停滞や発展の理由を説明することはできません。

データから学ぶ機械学習

機械学習では、人がすべての判定規則を書く代わりに、データからモデルを学習します。購入履歴を使った予測や、メールの分類などが例です。何を学習させ、どのような出力を求めるかによって、使う手法や評価方法が変わります。

確認する対象は、手順だけでなくデータにも広がります。たとえば学習した時期と運用する時期で傾向が変われば、予測が合わなくなる可能性があります。学習に使っていないデータで確かめ、見逃しや誤判定が業務に与える影響を確認する、という運用を設計します。

画像分類とTransformerの研究例

2012年のKrizhevskyらの論文は、深い畳み込みニューラルネットワークを用いたImageNetの画像分類を報告しています。2017年のVaswaniらの論文は、注意機構を用いたTransformerを提案し、機械翻訳などで評価しました。どちらも個別の課題に対する研究であり、その成績だけで、別の業務での正確さまで保証するものではありません。

深層学習は、多層のニューラルネットワークを使う機械学習の一部です。「機械学習の次に登場した別物」と切り離すと関係を見失います。また、評価で良い成績だったことと、自分の業務で求める根拠を説明できることも、別に確認する必要があります。

生成AIは、仕事の入口を変えた

生成AIは、文章、画像、音声、コードなどを作る技術です。機械学習の活用形態の一つであり、対話で依頼できるサービスもあります。仕事で試すなら、たたき台を作る工程と、その内容を確認する工程を分けて考えます。

何を目的にするか、誰に読ませるか、どの情報を使ってよいか、出力に誤りがないかを決めます。新しいモデルやサービスが出たことを、そのまま業務での導入効果と読み替えないことが大切です。

この章のまとめ

AIには規則を使う方式とデータから学ぶ方式があり、機械学習の中に深層学習があります。生成AIも機械学習を利用します。技術の包含関係と発表年を分け、仕事に必要な出力と確認方法で選びます。次の章では、予測と文章生成を例に、評価する対象の違いを整理します。

CHAPTER PRACTICE

年表を、製品の性能保証として読まない

この章でできるようになること:研究の発表と製品の公開、技術の関係を区別する。

確認する資料:1956年のダートマス研究集会、2012年のImageNet画像分類論文、2017年のTransformer論文。それぞれ何についての記録でしょうか。

下の3つの読み方を訂正してください。発表年が新しいことだけを、業務への適合性の根拠にしないことが目標です。

演習と照合例はTHINKLABが作成した教材です。特定のAIで実測した出力や効果ではありません。

照合例を開く
考えた内容を、以下の例と比べてください。文章が同じである必要はありません。
場面・問い照合例理由・確認点
2017年にAIが始まった2017年はTransformer論文の発表年。AI研究の歴史はそれ以前にある。研究分野の節目と、個別のモデル構造の発表を分ける。
画像分類の成績がよいので、文章の要約も正確だ画像分類の論文だけから、要約の精度は分からない。元の評価課題と、これから使う仕事が違う。
深層学習が登場したので、機械学習は使わなくなった深層学習は機械学習の一部。古い方式が一律に不要になったという意味ではない。技術の発展と、分類の包含関係を混ぜない。

出典と確認範囲

出典は技術・利用上の注意を確認するための資料です。演習の状況、照合例、試行方法はTHINKLABによる整理であり、出典機関の承認や製品の評価を示しません。

内容・出典確認: